【6月12日 AFP】銃乱射事件が相次いで起きた米国で11日、銃規制の強化を求める集会が各地で開催され、多数の市民が参加した。

 首都ワシントンの国立公園ナショナルモール(National Mall)で行われた集会には、幅広い年齢層の参加者が集まった。会場には2020年に全米で射殺された犠牲者数と同じ4万5000個余りの白い花瓶が並べられ、人々は「銃ではなく人間を守れ」「学校に恐怖はいらない」などと書かれたプラカードを掲げた。

 米国では先月、ニューヨーク州バファロー(Buffalo)のスーパーマーケットで黒人10人が射殺され、テキサス州ユバルディ(Uvalde)の小学校でも児童19人と教員2人が乱射事件の犠牲となった。

 今回の集会は、2018年にフロリダ州パークランド(Parkland)の高校で起きた銃乱射事件の生存者が創設した学生主体の団体「命のための行進(March for Our Lives)」が、一連の事件を受け企画した。

 この日は、パークランドを含む全米各地でも同様の抗議行動が相次いだ。

 ニューヨークでは数千人規模のデモが行われ、ブルックリン(Brooklyn)地区では小学校の事件で犠牲となった人々のために白い十字架が立てられ、スーパーマーケットで殺害された人の写真を貼り付けたショッピングカートが並べられた。

 銃を用いた暴力事件に関する統計を提供するガン・バイオレンス・アーカイブ(Gun Violence Archive)によると、今年の犠牲者は既に1万9300人を超え、うち半数以上が自殺だ。

 5月の事件をきっかけに、銃器の入手しやすさと、それが暴力事件に発展しかねない精神衛生上の問題に注目が集まっている。

 米国民の大多数は銃規制強化を支持しているものの、共和党議員らの反対が抜本的な改革の障害となっている。

 民主党が多数を占める下院は8日、ほとんどの半自動小銃の購入年齢を18歳から21歳に引き上げることなどを盛り込んだ包括銃規制法案を可決した。だが、上院では可決に必要な60票を民主党が確保していない。(c)AFP/Susannah WALDEN