【6月10日 AFP】東欧諸国上空を2人乗りの小型機が無許可で通過したため、各国空軍が警戒態勢に入る騒ぎがあった。ブルガリア国防省は9日、乗り捨てられた小型機を発見したものの、操縦士は所在不明だと明らかにした。

 国防省によると、同機はハンガリー領空を通過し、短時間セルビアに入った後にルーマニアの上空を飛行し、8日夜にブルガリア領空に侵入した。

 ルーマニア国防省によれば、同機は「ビーチクラフト(Beechcraft)」の双発機。飛行計画を提出しておらず、応答装置は切られていた。操縦士は無線での呼び掛けに応じなかった。

 ハンガリーの戦闘機「グリペン(Gripen)」、米国やルーマニアのF16戦闘機の計6機が交代で小型機に接近し、ブルガリア領空に入るまで並んで飛行したという。

 ブルガリアのドラゴミル・ザコフ(Dragomir Zakov)国防相は報道陣に、「飛行機は終始脅威と判断されなかった」ため、空軍は戦闘機を出撃させなかったと述べた。

 小型機はブルガリア北西部のドナウ(Danube)川沿いの町ビディン(Vidin)で途中給油した。内務省はその後、北東部タルゴビシテ(Targovishte)近郊の古い飛行場で乗り捨てられた機体を発見したものの、乗員の姿はなく、所在は分かっていない。

 ボイコ・ラシュコフ(Boyko Rashkov)内相によると、同機はリトアニアをたち、ポーランド、スロバキアの領空も通過。計7か国の東欧領空を無許可で飛行したことになる。(c)AFP