【6月9日 AFP】230超の人権団体が8日、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)のミチェル・バチェレ(Michelle Bachelet)高等弁務官が先月の中国訪問時に同国政府の「残虐行為」を「不問に付した」として、即時の辞任を求める共同声明を出した。

 共同声明には、ウイグル人やチベット人、香港人の権利保護を求める団体が名を連ねた。署名した団体には、同一団体の支部も含まれている。

 声明は、国連(UN)のアントニオ・グテレス(Antonio Guterres)事務総長に対し、8月末で任期満了となるバチェレ氏の再任を提案しないよう訴えた。

 バチェレ氏をめぐっては、中国訪問時に同国の人権侵害を厳しく非難しなかったとして、批判の声が広がっている。同氏が視察した新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)では、ウイグル人らイスラム系少数民族100万人以上が拘束され、強制労働や不妊手術を強いられているとされる。

 米国は同自治区における中国の行為を「ジェノサイド(集団殺害)」「人道に対する罪」と認定している。これに対し、中国は治安維持と過激派対策に必要な措置だと主張し、そうした見方を強く否定している。

 声明は「(バチェレ氏は)中国当局による一連の組織的な人権侵害に対処せず、責任追及を図る貴重な機会を無駄にした」と指摘。逆に「中国政府が言うところの『テロ対策』という偽りのお題目に乗ることで犯罪隠蔽の試みを正当化してしまった」と糾弾した。

 同自治区の収容施設についても、中国政府の用語である「職業技能教育訓練センター」という呼び名を繰り返し使った点も非難。

 その上で、バチェレ氏の中国訪問は「失敗」であり、「中国政府の統治下で暮らす人々の人権危機を悪化させたばかりでなく、世界で人権を擁護・推進するOHCHRの品位をも著しく損なった」とこき下ろした。(c)AFP/Nina LARSON