■遺骨が埋葬されていない「虚塚」

 正恩氏の父や祖父の遺体が安置されている平壌の錦繍山太陽宮殿(Kumsusan Palace of the Sun)とは対照的に、正恩氏の母方の多くは済州島の草むした墓に眠っている。

 この高家の墓は、2014年に韓国メディアによってその存在が報じられた。

 正恩氏の母方の祖父である高ギョンテク(Ko Gyong Taek)氏は北朝鮮で死去し、現地で埋葬されていたが、済州島で発見された当時は「1913年生まれ、1929年渡日、1999年死去」と書かれた墓碑が立ち、遺骨が埋葬されていない「虚塚」とされていた。虚塚であれば、実際には埋葬されていなくても親族は先祖を供養できる。

 AFPが今年4月、済州島を訪れた際にはその墓碑はなかった。

 正恩氏の遠縁に当たる人物がメディアの注目に驚き、墓が破壊されることを恐れて撤去したと韓国・朝鮮日報(Chosun Ilbo)は伝えた。報道によると、この人物は、メディアに騒がれるまで、自分の家族と「金正恩氏とのつながりについては全く知らなかった」と話している。(c)AFP/Kang Jin-kyu