【6月9日 AFP】世界保健機関(WHO)は8日、サル痘の流行地域以外の国々での感染者が1000人を超えたと発表し、これらの国で流行する危険性があると警告した。

 サル痘の流行はこれまで、アフリカ中部・西部の9か国で発生していたが、ここ1か月で英国とスペイン、ポルトガルなどの欧州諸国を中心に、流行地域以外の国での感染が相次いでいる。

 WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイェスス(Tedros Adhanom Ghebreyesus)事務局長は、流行地域以外の29か国で1000人以上の感染例がWHOに報告されていると説明。今のところ死亡例はないとした。感染者の多くは男性と性交渉を持つ男性だが、一部の国では女性の感染例も含め、市中感染とみられる症例が報告され始めているという。

 サル痘の初期症状には高熱やリンパ節の腫れが含まれ、水痘に似た発疹が出る。テドロス氏は、妊婦や子どもが感染した場合のリスクを特に懸念していると述べた。

 サル痘ウイルスに対するワクチンについては、集団接種は推奨しないとしつつも、感染者の性的パートナーや同居人を含む濃厚接触者を対象に、接触から4日以内の接種を検討可能だと説明。症状がある人は自宅に隔離して家族との密接な接触を避け、医療従事者に相談するべきだとした。

 WHOは近日中に、治療や感染の予防と制御、ワクチン接種などに関する指針を発表する予定だという。(c)AFP