【6月8日 AFP】国際スケート連盟(ISU)が7日、フィギュアスケートのシニア大会の出場年齢制限を15歳から17歳以上に引き上げる決定を下したことに対し、ロシアの大物指導者からは反発の声が上がっている。

 今年2月の北京冬季五輪では、当時15歳のカミラ・ワリエワ(Kamila Valieva、ロシア五輪委員会<ROC>)の禁止薬物陽性が物議を醸した。

 女子シングルの金メダル本命だったワリエワは、五輪前の薬物検査で陽性が判明しながらも大会出場が許可されたが、本番では何度も転倒してメダル圏外の4位。演技後には涙を流すワリエワとコーチが衝突する場面があり、陣営の影響力を疑問視する声が渦巻いた。

 しかし、ロシア・フィギュアスケート界の重鎮は今回の決定に異を唱えている。

 ロシア出身指導者のタチアナ・タラソワ(Tatiana Tarasova)氏は、国営タス(TASS)通信に「それでも勝つのはわれわれ」とコメント。また、元選手で現在はコーチを務めるアレクサンドル・ズーリン(Alexander Zhulin)氏は「主にわれわれに対する決定だ」と指摘し、「15~16歳では、われわれの女子が負けないのは誰の目にも明らか。今は全ての人がわれわれを敵視しているから、驚きではなかった」と話した。

 北京冬季五輪の女子シングルでは、アンナ・シェルバコワ(Anna Shcherbakova)が金メダル、アレクサンドラ・トゥルソワ(Alexandra Trusova)が銀メダルを獲得し、10代のROC勢が上位2人に入った。

 ISUの医療責任者は年齢制限の引き上げを支持し、若手選手は身体面と精神面の両方で恩恵を受けることになり、キャリアの長期化にもつながると主張している。

 年齢制限は段階的に引き上げられ、2024-25シーズンには17歳以上が出場可能となり、2026年の冬季五輪でも適用される。(c)AFP/Lisa MARTIN