【6月7日 AFP】米国のアントニー・ブリンケン(Antony Blinken)国務長官は6日、ウクライナ産の穀物をロシアが盗んで転売しているとする報道について、信ぴょう性があるとの見方を示した。

 米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)は同日、複数の貨物船がロシアの支配下にある港から出発したと報道。米当局は、船に積載されているのは「盗まれたウクライナの穀物」だと主張していた。

 ブリンケン氏は、ウクライナ侵攻に端を発した食糧安保に関する国務省内の会議で、「ロシアがウクライナの輸出向け穀物を盗み、自らを利するために転売しているという信ぴょう性のある報道がある」と述べた。

 その上で、「ロシアは現在、自国の輸出用食品もため込んでいる」とし、小麦などの穀物価格が世界的に高騰し、供給不足が懸念されているのはそのためだと非難した。

 ニューヨーク・タイムズ紙によると、米国はアフリカを中心とする14か国に対し、穀類貨物について警戒を呼び掛けたという。14か国の多くは穀物を輸入に頼っており、すでに深刻な供給不足に直面している。

 ブリンケン氏はまた、黒海(Black Sea)に面するウクライナ・オデーサ(Odessa)から穀物の積載船が出港することをロシア海軍が妨害しており、「ロシアによる海上封鎖で、小麦約2000万トンがオデーサ近郊のサイロの中で行き場を失い、穀物を満載した船がオデーサ港で立ち往生している」と明らかにした。

 これについてブリンケン氏は、海上封鎖は各国を「屈服」させ、対ロ制裁の解除を強いるウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領の意図的な戦略であり、「簡単に言い換えれば、これは脅迫だ」との考えを示した。(c)AFP