【6月4日 AFP】全仏オープンテニス(French Open 2022)は3日、男子シングルス準決勝が行われ、大会第5シードのラファエル・ナダル(Rafael Nadal、スペイン)は7-6 (10-8)、6-6としたところで第3シードのアレクサンダー・ズベレフ(Alexander Zverev、ドイツ)が負傷により棄権したため、同大会通算14度目の決勝進出を決めた。

 試合時間が3時間を超える中、25歳のズベレフはチームと家族が座っていたプレーヤーズボックスの前で打球を追い掛けると、足をひねって転倒。約1万5000席のコート・フィリップ・シャトリエ(Court Philippe-Chatrier)に響き渡るほどの叫び声を上げ、泣きながら医療スタッフの手を借りて車いすでコートを後にした。そして数分後、松葉づえをつきながら戻ってくると、棄権を申し出た。

 打ちひしがれていた対戦相手を抱擁して慰めたナダルは、「とてもつらくて悲しいことだ。彼は信じられないようなプレーを続けていて、ツアーでも非常に良い仲間だ」と話すと、「彼が四大大会(グランドスラム)で勝つために、どれほど戦ってきたか知っている。あの瞬間は彼にとって不運だった。彼はこの先、(グランドスラムで)1勝どころかそれ以上は勝てるはず。健闘を祈っている」とエールを送った。

 さらに「本当にタフな試合だった。3時間を超えているのに、第2セットも終わっていなかった。彼にきょうのようなプレーをされるのは最大の試練の一つだ」とコメント。「自分にとって、ローラン・ギャロス(Roland Garros、全仏オープン)の決勝は夢であることは間違いないが、それと同時にこんな終わり方をするなんて…。サーシャ(Sascha、ズベレフの愛称)と一緒に小さな部屋へ行って、彼があんなふうに泣いているのを見るなんて…。幸運を祈っている」とも付け加えた。

 通算13度の全仏優勝を誇るナダルは、男子歴代1位の記録を更新する通算22度目のグランドスラム制覇を目指し、5日の決勝で第8シードのキャスパー・ルード(Casper Ruud、ノルウェー)と対戦する。(c)AFP/By Dave JAMES