【今週のSDGs Picks】貴重な水を運ぶ列車を待ちわびて インド西部
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【6月5日 AFP】インド西部の砂漠の州ラジャスタン(Rajasthan)に熱波の中、貴重な水を乗せ、特別列車がやって来る。アフロズ・ジャハン(Afroz Jahan)さん(13)は毎日、学校に行く代わりに列車を待っている。脇には容器がたくさん積まれた手押し車が止まっている。
ここでは気温が45度を超えることも珍しくはない。だが、今年は例年より早く気温が上昇し始めた。気候変動のさらなる証拠だと指摘する専門家も多い。
アフロズさんは、パーリ(Pali)地区でその日2度目の給水列車を待っていた。「4月は容器が満杯になったことはなかった」と話す。
パーリ地区に住む数千人にとって、およそ200万リットルの水を積んだ40両の貨物列車が貴重な水資源となっている。
毎日、女性や子どもを中心に数十人が、青色のプラスチック製の容器や金属製のポットを持って、列車から地下タンクに水を入れるホースに殺到する。
約65キロ離れた同州ジョドプール(Jodhpur)で積み込まれた水は、セメント製の貯蔵タンクに移される。その後、処理施設に送られ、ろ過され、配水される。
しかし、アフロズさんの家族ら住民は、ろ過前であっても貯蔵タンクから直接くむ方が楽だ。
アフロズさんの家族は、水を確保するために子どもを学校に行かせられないこともあり、苦悩している。
アフロズさんの母、ヌール(Noor Jahan)さんは「一家の大黒柱に助けを求めるわけにはいかない。それをすると、食べ物と水の両方に困ることになる」と、アルミ容器に水をくみながら語った。
「子どもの教育に影響するが、私ひとりではすべての容器を運ぶことはできない」と訴えた。
南アジアではここ数週間、何億人もが初夏の熱波に苦しんでいる。インドでは3月、記録的な暑さに見舞われた。
国連児童基金(ユニセフ、UNICEF)によると、インドで安全な飲料水を手に入れることができるのは人口の半数未満にとどまっている。全土718地区のうち3分の2が「極度の水不足」にさらされている。
映像は5月11日撮影。(c)AFP/Aishwarya KUMAR