【6月3日 Xinhua News】中国河南省(Henan)洛陽市(Luoyang)の竜門石窟研究院はこのほど、同石窟奉先寺にある盧舎那大仏(るしゃなだいぶつ)の完成当時の姿を知る手がかりを発見したと明らかにした。大仏は1300年余りの歴史を持つ。

 考古スタッフは最新技術を用い、大仏の顔部表面から金と銀の元素の検出に成功した。同研究院の史家珍(Shi Jiazhen)院長は「大仏は建立時、金箔(きんぱく)を使っていた可能性が高い」と指摘した。

 胴体部表面からは緑や赤、黒などの顔料の残留物も見つかった。建立当時の唐代には彩色の衣服を「まとっていた」可能性が高いことを示している。

 大仏の右側に脇侍する普賢菩薩(ふげんぼさつ)像の目からは、二酸化ケイ素と鉛からなる瑠璃(ガラス)の眼球を発見。眼球は円弧状の薄片で厚さは約5ミリだった。

 同院石窟保護研究センターの馬朝竜(Ma Chaolong)主任は「眼球の琉璃は暗緑色で均一な材質からなり、洗浄後はきらきらと輝いた」と説明。奉先寺の仏像に唐代の瑠璃の大型薄片が残されていたのは貴重な発見だと語った。

  建立の過程を考えれば、大仏の目も普賢菩薩と同じ構造だったと考えられるが、現在の大仏に眼球はなく、長い歴史の中で剥落したと思われる。

 普賢菩薩像の両目が非対称なことも分かった。暫定的な分析では、制作者が透視効果を考慮し、大仏の右に立つ普賢菩薩像がわずかに左を向いているように見えるよう故意に非対称にしたと考えられる。当時の人々の極めて高い彫刻技術水準が反映されている。

 普賢菩薩像の表面からは均等の厚さを持つ白い物質も確認され、分析の結果、鉛白(えんぱく)だと分かった。鉛白は顔料や金箔の付着を助ける効果があるほか、風化を防ぐ作用も持つ。

 史氏は「金と銀の元素や顔料、瑠璃の眼球の発見は、奉先寺の仏像の装飾特徴や制作技術、保護の歴史を研究する上で重要な意義を持つ」と語った。(c)Xinhua News/AFPBB News