【6月2日 AFP】オーストラリアのペニー・ウォン(Penny Wong)外相は2日、南太平洋の島国サモアを訪問し、同国に新たに哨戒艇を供与する意向を表明した。太平洋地域で中国が影響力を拡大する中、サモアとの関係強化を狙ったものとみられる。

 ウォン氏はサモアのフィアメ・ナオミ・マタアファ(Fiame Naomi Mata'afa)首相との会談後、最近座礁した同国の哨戒艇の埋め合わせとして、ガーディアン級の哨戒艇1隻を来年、供与する考えを示した。

 10日前に就任したばかりのフォン氏は太平洋諸国との関係強化の一環でフィジーをすでに訪れており、週内にトンガへの訪問も予定されている。

 一方、中国の王毅(Wang Yi)外相も、10日間にわたる太平洋諸国歴訪を今週終える予定だ。

 王氏は今回の歴訪で、太平洋地域の安全保障面での中国の役割拡大を試みた。米国とオーストラリアはそうした動きを警戒している。

 ただ、王氏は太平洋諸国との連携強化では一定の成果を残したものの、治安維持やサイバーセキュリティーなどを含む安全保障分野での協力に関しては同意を取り付けられなかった。

 サモアのフィアメ首相は、中国が太平洋地域で締結した文書の一部には「間違った説明」があると指摘。「先週ここで署名された文書については、ほとんどが何年も前に始まった二国間プログラムや事業」に関するものだと述べた。

 太平洋諸国の中には台湾を国として認めている国もある。フィアメ首相は、台湾問題をめぐって域内で協議がなされるまでは、中国との「地域協定」締結に反対すると語った。(c)AFP