【6月1日 Xinhua News】中国上海市農業生物遺伝子センターの首席科学者、羅利軍(Luo Lijun)氏が率いるチームはこのほど、イネの干ばつ耐性を高める遺伝子「OsRINGzf1」を発見した。同遺伝子は細胞内の水分通路を減らすことで細胞の水分流出を抑え、植物の保水力を高める機能を持つ。研究成果は国際学術誌「プラント・バイオテクノロジー・ジャーナル」電子版に掲載された。

 論文の責任著者を務めた同センターの劉鴻艶(Liu Hongyan)副研究員は「長期にわたり干ばつ耐性の遺伝研究を続けてきた。干ばつ耐性を左右する遺伝子を見つけるため、干ばつ条件と正常な条件で大量の比較を行い、ファインマッピングを通じて第4染色体に『OsRINGzf1』を発見した」と遺伝子発見の経緯を説明した。

 筆頭著者を務めた上海市農業生物遺伝子センターと華中農業大学の共同育成博士、陳守俊(Chen Shoujun)氏によると、同遺伝子を過剰発現させることでイネの乾燥ストレスと塩ストレスに対する耐性を強化できる。逆に遺伝子をノックアウトさせれば、イネは干ばつに敏感になる。同遺伝子を過剰発現させた場合のイネの収穫量は干ばつ条件下で対照群を10%強上回り、干ばつによる収穫損失を減らすことができる。

 同チームは20世紀末から世界でイネの遺伝資源の収集を始め、中国でイネ機能遺伝子資源バンクを設立。節水に優れ、干ばつに強いイネの理論と育種体系を構築してきた。「旱優73」をはじめとする新品種は、すでに広い範囲で普及している。(c)Xinhua News/AFPBB News