【5月27日 AFP】ドローンによる農薬散布、センサーを使った土壌測定、ボタン一つで肥料を散布するスプリンクラー──。マレーシアのドリアン農園「トップフルーツ・プランテーションズ(Top Fruits Plantations)」では、ハイテク機器を使って収穫量を増やしている。

 ドリアンは、東南アジア一帯に生育する強いにおいがする果物。ほろ苦い甘さとクリーミーな食感が人気で「果物の王様」とも呼ばれ、特に中国で人気が高い。

 トップフルーツ・プランテーションズのタン・スー・シアン(Tan Sue Sian)社長は、南部ジョホール(Johor)州バトゥパハ(Batu Pahat)の農園を案内しながら、「安定した収穫を得るには、この方法がはるかに早い」と話す。

 ハイテク機器を使うことで、ドリアンの木が必要とする肥料や水の量をいままでもよりも正確に測ることができるという。

 ドリアン栽培で30年以上の経験があるタン氏は「必要なものを与えれば順調に育つ。形も香りも良くなる」と語った。

 ハイテク栽培のカギとなるのは、面積約280ヘクタールの農園のうち約160ヘクタールをカバーするセンサーだ。土壌の質などを測定し、作業員が携帯する機器にデータを送信する。

 センサーは柱に取り付けた箱に設置されており、ケーブルで地面とつながっている。2024年までに農園全体をセンサーで管理する計画だ。

 肥料をまくスプリンクラーは、柱のネットワークに接続されていて、遠隔操作が可能。また、ドローンが上空から農薬を散布する。

 マレーシアのドリアン農家は、多くの手間と勘、経験に頼っており、ハイテク機器を駆使する農園はここだけだ。

 投資額も多額に上った。トップフルーツ・プランテーションズでは、過去3年で約400万リンギット(約1億1600万円)をハイテク技術に投資した。収穫量は40%増え、人員は30%削減された。

 トップフループ・プランテーションズ全体の年間生産量は現在800トン。うち80%以上は工場で冷凍され、中国を中心に海外に輸出されている。

 映像は4月に取材したもの。(c)AFP/Patrick Lee