【5月26日 People’s Daily】北京冬季オリンピック期間中、中国国家体育場(鳥の巣)の冬季オリンピックライセンス商品販売店で、多くの観客がデジタル人民元で、マスコットの「氷墩墩(ビンドゥンドゥン、Bing Dwen Dwen)」を購入した。

 冬季オリンピック・パラリンピック期間中、中国居住者、訪中外国人観光客、いずれも中国国内で幅広いデジタル人民元商品を選び、少額でも便利なモバイル決済を体験することができた。

 冬季オリンピックは、デジタル人民元試行の事例と言える。数年の努力を経て、中国のデジタル人民元試行は、深セン(Shenzhen)、蘇州(Suzhou)、雄安新区(Xiong’an New Area)、成都(Chengdu)、上海、海南(Hainan)、長沙(Changsha)、西安(Xi’an)、青島(Qingdao)、大連(Dalian)の10の試行地区と冬季オリンピックシーン(北京、張家口<Zhangjiakou>)を含む「10+1」の構図を形成している。

 データによると、2021年末までに、デジタル人民元の試行シーンは、808万5100件を超え、取引高は875億6500万元(約1兆6680億円)に達したという。試行はデジタル人民元業務の技術設計とシステムの安定性、製品の利便性、応用シーンの適用性を効果的に検証し、デジタル人民元の設計理念に対する社会大衆の理解を増進させた。

 今年初め、デジタル人民元モバイルアプリ(試行版)が、複数のアプリ市場で登場した。デジタル人民元の試行の推進に伴い、関連するアプリ製品や応用シーンも日増しに豊富になってきている。今回の冬季オリンピック・パラリンピックの応用シーンを例に挙げると、デジタル人民元を使用する際、消費者は「ソフトウォレット」のデジタル人民元のモバイルアプリを使用でき、デジタル人民元を両替して「ハードウォレット」を使用することもできる。このうち、「ハードウォレット」には、カード式ハードウォレットやブレスレットハードウォレットなどがあり、匿名でアクセス・利用できるため、安全で便利な上、個人のプライバシーは十分に保護され、ユーザーの少額・匿名決済のニーズに応えることができる。

「第14次五か年計画」は、デジタル通貨の研究開発を着実に推進することを提示している。「現在、デジタル経済は日増しに世界経済成長の重要な原動力となっている」。中南財経政法大学(ZUEL)デジタル経済研究所の盤和林(Pan Helin)常務理事は、デジタル人民元の研究開発と応用は、デジタル経済における法定通貨に対する公衆のニーズを満たし、小売決済の利便性、安全性、偽造防止レベルを向上させ、中国のデジタル経済の発展を後押しすることにつながるとみている。

「デジタル人民元の研究開発は、デジタル経済の発展のサポートに不可欠なものだ」。中国人民銀行(People's Bank of China、中央銀行)の范一飛(Fan Yifei)副総裁は、現在、デジタル経済を代表とする科学技術イノベーションが、発展の勢いを生み出す重要な原動力となっており、経済・社会の質の高い発展を実現するには、より安全で、普遍性と包括性に優れた新型小売決済インフラが公共財として客観的に必要とされ、人々の決済ニーズの多様化にさらに応え、これにより、基本的な金融サービスの水準と効率を向上させると指摘した。

 中国人民銀行は次の段階で、「第14次五か年計画」に基づき計画を策定し、デジタル人民元の研究開発の試行を引き続き着実に推進し、小売取引、公共料金の支払い、政務サービスなどの試行シーンでのデジタル人民元の使用をさらに深めていくと表明した。(c)People’s Daily/AFPBB News