■非常に困難な課題

 ソ連崩壊後、ウクライナに貯蔵されていた大量の武器は、世界各国や各地の紛争地に流出した。2014年のロシアによるウクライナ南部クリミア(Crimea)半島の併合や、親ロシア派武装勢力によるウクライナ東部ドンバス(Donbas)地方の一部掌握を受け、ウクライナでは武器の略奪が再び起きるようになった。

 スイス・ジュネーブにある国際開発高等研究所(IHEID)に拠点を置く研究センター「スモール・アームズ・サーベイ」(SAS)によると、2013〜15年に30万の武器が盗まれたり、所在不明になったりした。その後に回収された武器は4000にとどまった。1990年代に武器はウクライナ国外に送られたのとは異なり、大半の武器は国内の闇市場で取引されたという。

 SASの研究者マット・シュローダー(Matt Schroeder)氏は、一般的なウクライナ国民の間で武器の需要が増えたことについて、「東部での未解決の紛争と国内の治安状況に対する不安感」という要因があったためだと説明する。

 シュローダー氏は、ウクライナに大量に供与された武器の今後に関して、「これらの武器を回収したり、適切に廃棄したりするのは、どのような政府にとっても非常に難しい課題だ。存亡の危機に対処している政府にとっては言うまでもない」と強調する。