【5月26日 Xinhua News】中国陝西省(Shaanxi)宝鶏市(Baoji)の法門寺地宮(地下宝物庫)で見つかった唐代の皇室器物に入っていた香料に対する研究で、橄欖(かんらん)や沈香(じんこう)、乳香(にゅうこう)などの香料の多くが国外で産出されていたことが分かった。唐代に数種類の香料を調合して香(こう)を作る技術が存在していたことも実物資料によって裏付けられた。

 研究は、故宮博物院と中国科学院大学、法門寺博物館が共同で実施。法門寺で見つかった3種類の香料の試料を総合的に分析した。

 分析結果では、1号試料の黄色い香料はカンラン科カンラン属の植物の樹脂で、東南アジア諸国と中国南東部でよく見られるものだった。故宮博物院文物保存科学技術部の任萌(Ren Meng)氏によると、唐代の文献に橄欖の記載はほとんどなく、これは中国で初めて見つかった唐代の橄欖樹脂の実物資料になるという。

 2号試料は沈香で、試料3号からは木質素(リグニン)と沈香の特徴マーカー、乳香の特徴マーカーが同時に検出された。沈香木と乳香を粉末にしてから混ぜたことを示しており、中国で確認された初期の調合香の物証といえる。

 任氏は、乳香はカンラン科ボスウェリア属の樹木から採れる樹脂で、主に紅海沿岸やアラビア半島、インドなどに分布していると説明。乳香とその製品が唐代に長安に輸入されていたことが今回の研究で分かったと述べた。

 研究では、法門寺で見つかった唐代の調合香料の主原料は沈香と乳香であり、この二つの組み合わせが後世の調香の基礎となったことが初めて明らかにされた。中国科学院大学の楊益民(Yang Yimin)教授は、法門寺地宮で見つかった香料のほとんどが国外産であり、陸海のシルクロードを経て長安や洛陽に運ばれ、皇帝や高僧らが舎利供養として法門寺に奉納したものだと説明。同時代のシルクロードの往来の活発さと香料貿易の隆盛ぶりを示す歴史の物証だと語った。

 研究成果はこのほど、米学術誌「米国科学アカデミー紀要 (PNAS)」の電子版に掲載された。(c)Xinhua News/AFPBB News