【5月26日 Xinhua News】中国の科学者らは、2年余りの研究を経て、雲南省(Yunnan)鎮雄県(Zhenxiong)で、オルドビス紀末期の生物大量絶滅前の三葉虫動物相を初めて発見した。華南プレート西縁の海洋生物相の解明につながる重要な手がかりとなり、地域環境の悪化時に古生物らが避難した場所が存在したことを裏付けるものとなった。

 北京大学や中国科学院南京地質古生物研究所、中国地質調査局西安地質調査センターの研究者らは、2020年から鎮雄県で三葉虫動物相についての詳細な調査を実施。研究成果はこのほど、国際学術誌「Palaeoworld」のオンライン版に掲載された。

 論文筆頭著者である北京大学地球・空間科学学院の魏鑫(Wei Xin)博士研究員は、これまで知られている地球史では計5回の大量絶滅イベントが発生したが、4億4300万年前に発生したオルドビス紀後期の生物大量絶滅はその最初に当たり、前後における生物と環境の相乗的進化関係の研究が注目を集めていると説明した。

 魏氏は「今回、鎮雄地区で見つかった三葉虫動物相は、オルドビス紀末期の生物大量絶滅よりやや前のもので、9科15属17種が含まれ、新種も4種含まれている」と紹介。同地区は地層の露出が良好で、化石が豊富で交通も便利なため、研究にとって理想的な地域だと述べた。

 研究者らは今回、層ごとのサンプリングと系統的古生物学・堆積学的研究により、大量絶滅前の鎮雄地域における三葉虫動物相を明らかにし、新たな三葉虫群を確立。同時期の華南地域における三葉虫動物相の生態的研究の基礎を築いた。

 魏氏はまた、三葉虫(種)の時空分布から、華南地域のオルドビス紀末期の生物大量絶滅前には生物の移動が起きていたと解説。華南プレートの海洋環境が地殻変動により徐々に悪化し、大部分で無酸素状態の半閉鎖性海盆が形成され、それにより多数の三葉虫が死滅し、少数の三葉虫が鎮雄地域のような比較的浅く酸素の豊富な環境、つまり「避難所」に移動する現象が起こったとの見解を示した。(c)Xinhua News/AFPBB News