【5月29日 Xinhua News】中国湖北省(Hubei)文物考古研究院と、北京大学考古文博学院の崔剣鋒(Cui Jianfeng)教授による合同考古チームはこのほど、最新の研究結果として、湖北省の屈家嶺(くつかれい)遺跡出土の黒彩陶が、現時点で国内最古の高温焼成による黒釉陶と判明したと発表した。同地の先住民がすでに黒釉陶の焼成技術を身に付けていたことを示しており、中国の高温黒釉技術の歴史を千年さかのぼらせる。

  屈家嶺遺跡は、新石器時代の屈家嶺文化の発見地と命名地であり、同省荊門市(Jingmen)屈家嶺管理区屈嶺村と京山市雁門口鎮高墩村にある。一帯は大洪山南麓から江漢平原への移行地帯に位置する。屈家嶺文化の年代は約5100~4500年前で、土器製作は主にろくろを用い、多くが泥質の黒陶と灰陶で、弦文や鏤孔(透かし彫り)などの装飾が流行していた。

  一部の黒陶は黒衣卵殻陶とも呼ばれ、厚さはわずか0・1~0・2センチほどと卵の殻のように薄い。これまでに国内で出土したろくろ製土器の中でも製作時期が比較的早いものとされる。合同研究チームは今回の研究で、顕微鏡観察や成分分析、分析型走査電子顕微鏡(SEM-EDS)などの手法による分析を行い、土器表面に施された黒彩技術が、新石器時代のその他の文化と完全に異なることを突き止めた。

 崔氏によると、新石器時代の彩陶の黑彩は大多数が鉄とマンガンを含む鉱物原料を用い、鉄とマンガン元素が混ざり合うことで発色していた。これらの土器の表面はガラス化されておらず、質感が粗く、吸水性があり、光沢もなかったが、今回見つかった卵殻陶の黒い表層は光沢が強く、ガラスのような質感を持ち、黒釉に焼成されていた。マンガンをほぼ含まず、鉄イオンのみで発色するなど、呈色原理が後世の黒釉と一致していたという。

  同チームによる比較分析の結果、同遺跡の黒釉陶は紀元前6世紀の古代ギリシャで作られた黒絵式陶器の焼成技術と似ており、いずれも「酸化-還元-酸化」という三相焼成の技術が用いられていることが分かった。

 崔氏は「現在知られている最も古い高温焼成の黒釉陶は、広東省の浮浜文化の黒釉陶(灰釉陶器)で約3500年前のものだが、屈家嶺文化の卵殻陶は中国の高温黒釉技術の歴史を少なくとも千年さかのぼらせた」と語った。(c)Xinhua News/AFPBB News