【検証】電気自動車(EV)懐疑派が唱える三つの主張
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【7月17日 AFP】電気自動車(EV)が環境保護に役立つというのは、リベラル派の夢物語だ──EVは言われるほど環境に優しくないとするEV懐疑論でよく聞かれる三つの主張をAFPが検証した。
■結局は石炭を消費?
「石炭燃料を使って充電する電気自動車…架空の危機とその解決を装うためのリベラル派の道具」──フェイスブック(Facebook)で拡散された充電ステーションとEVの写真に添えられていた文句だ。
この投稿が意味しているのは、EVが使用する電力は火力発電によって供給されているため、結局は温室効果ガス排出削減に役立たないのではないかという主張だ。
ただ、米環境保護局(EPA)のサイトにある、ガソリン車とEVの排出量を地域ごとに計算して比較できるツールによると、発電で最も石炭に依存しているミズーリ州セントルイス(St Louis)で充電した場合でも、1マイル(約1.6キロ)当たりの二酸化炭素(CO2)排出量は、電気自動車で平均247グラム、ガソリン車で平均381グラムであることが分かる。
また輸送・環境NPO国際クリーン交通委員会(ICCT)の調査でも、原料採掘からリサイクルまでの全体におけるCO2排出量が、EVではガソリン車よりも少ないことが明らかになっている。
■200トン以上の土採掘?
同じくフェイスブックで広まった別の投稿は、EV用電池1個分に使用される金属を採掘するためには、約227トンの土を掘り返さなければならないと主張している。この試算は、気候変動懐疑派の米シンクタンク「マンハッタン研究所(Manhattan Institute)」による2020年の分析に基づいたものと思われる。
だが、AFPの取材に応じた複数の専門家は、この数字は誤解を招くと指摘する。豪カーティン大学(Curtin University)で持続可能性を研究するピーター・ニューマン(Peter Newman)教授は「著しい誇張だ」と採掘の規模は、その地理的条件やバッテリーの種類によって異なると述べた。
ICCTの研究者ゲオルク・ビーカー(Georg Bieker)氏は「地球温暖化がもたらす社会的・環境的影響は、バッテリー原料の採掘とは全く規模が違うことは明らかだ」と述べている。