【5月24日 AFP】欧州連合(EU)の欧州疾病予防管理センター(ECDC)は23日、欧米諸国で感染者が相次いでいるサル痘について、人口全体にまん延する危険性は極めて低いとの見解を示した。世界保健機関(WHO)も、すでに流行地域となっているアフリカ中部・西部以外の国では感染を食い止めることが可能だとしている。

 欧米では今月、サル痘の感染者数が爆発的に増加。WHOによると、欧州、北米、オーストラリアで感染が確認されたり疑われたりしている人は200人弱となり、感染拡大への懸念が高まっている。

 サル痘は40年前から存在が知られているが、WHOによると、アフリカの流行地域に渡航していない人々の感染例が多くの国で同時に確認されたのは初めて。

 しかし、WHOの感染症疫学者マリア・バンケルコフ(Maria van Kerkhove)氏はSNSで行った動画配信で、「特に欧州各国や北米で発生している感染は、封じ込めが可能な状況だ」と説明。流行地域ではない国々では、ヒトからヒトへの感染を止めることができるとした。

 ECDCのアンドレア・アモン(Andrea Ammon)所長は、感染者の大半は症状が軽く、一般人口の間でサル痘が流行する可能性は「極めて低い」と指摘。しかし、複数の性的パートナーを持つ人々による性行為など、密接な接触によって感染が広がる可能性は高いとした。

 サル痘ウイルスは、感染者の外傷や飛沫(ひまつ)に接触することで感染する。症状には発熱、筋肉痛、リンパ節の腫れ、悪寒、倦怠(けんたい)感が含まれる他、手や顔には水疱瘡(みずぼうそう)に似た発疹が出る。死に至ることはまれだが、ECDCによると、幼児や妊婦、免疫力が低下している人は重症化する可能性がある。(c)AFP/Johannes LEDEL