【5月24日 東方新報】中国ではコロナ禍が拡大して以降、都会の「密」を避けて大自然を満喫するキャンプブームがわき起こっている。それに伴い、キャンピングカーの人気も高まっている。

 北京市の張さんは昨年、中国の自動車メーカー奇瑞汽車(Chery Automobile)が米国のREVグループと開発したキャンピングカー「瑞弗R500」を40万元(約763万円)で購入した。天気の良い週末は家族でキャンピングカーに乗り、郊外のキャンプ場や森林に出かけるのが習慣となった。

「新型コロナウイルスは相変わらず、いつどこで拡大するか分からないので、通常の旅行計画を立てられない。ずっと都会にいるのも息が詰まる。キャンピングカーなら自由気ままに家族の時間が過ごせる」と張さん。家族でバーベキューを楽しみ、コーヒーマシンで手作りのコーヒーを味わい、ゆったりとした時間を過ごす。

 中国で2021年のキャンピングカーの売り上げは、1万2582台。2020年の8787台から43%増となった。このうちキャンプシーズンとして最も人気のある夏場に向けた6月が1476台、7月が1418台と最も売れた。今年第1四半期(1~3月)は2425台が売れ、前年同期比17%増とさらに伸びを示している。

 中国の各自動車メーカーはキャンピングカーの販売に乗り出しており、価格帯は30万~50万元(約572万~953万円)が中心。50万元を超える高級車もある。一般乗用車の売り上げが低迷する中、高額のキャンピングカー人気が自動車市場をけん引する役割を担っている。

 企業リサーチ会社の艾媒諮詢(iiMedia Research)によると、中国のキャンプ市場は2014年の77億1000万元(約1469億円)から2020年には168億元(約3203億円)に増加。2022年は350億元(約6673億円)を突破する見込みで、キャンピングカーの売れ行きも比例して伸びるとみられる。

 一方でキャンプ場の受け入れが課題になっている。キャンピングカーが止められる駐車スペースや水の供給、車内の冷蔵庫などのための充電設備などが整っているキャンプ場が少ない。また、キャンピングカーをレンタルしてキャンプを楽しむ人も増えているが、レンタル代が1日1500元(約2万8598円)程度、週末は2000元(約3万8130円)ほどになり、「ホテルに泊まるより高い」という声も。急激に高まるキャンプ熱とともに、キャンピングカーにまつわる話題も増えている。(c)東方新報/AFPBB News