【5月22日 AFP】トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領は21日、スウェーデンとフィンランドの北大西洋条約機構(NATO)加盟について、両国がテロ組織を支援しているのではないかとの懸念が解消されない限り、「前向き」に対応できないとの立場を示した。

 トルコは以前から、北欧、特にトルコ人移民が多いスウェーデンが、クルド人武装勢力や、2016年のクーデター未遂をめぐり指名手配されている在米イスラム教指導者、フェトフッラー・ギュレン(Fethullah Gulen)師の支持者をかくまっていると非難している。

 スウェーデン、フィンランド両国のNATO加盟には全加盟国の承認が必要なため、エルドアン氏のこうした否定的な姿勢は、加盟実現に向け大きな障壁となる可能性がある。

 トルコ大統領府によると、エルドアン氏はNATOのイエンス・ストルテンベルグ(Jens Stoltenberg)事務総長と電話で会談し、「スウェーデンとフィンランドがテロとの戦いなど、基本的な課題をめぐりトルコと連帯していくことを明確に示さない限り、われわれが両国のNATO加盟に前向きに取り組むことはない」と述べた。

 エルドアン氏は先に、両国がNATO加盟申請を受けて代表団の派遣を打診したのに対し、受け入れを拒否。21日には両国首脳と相次いで電話会談し、トルコの安全保障を脅かす「テロリスト」集団への資金・政治面での支援をやめるよう求めた。

 大統領府によると、エルドアン氏はスウェーデンのマグダレナ・アンデション(Magdalena Andersson)首相に対し、非合法武装組織「クルド労働者党(PKK)」や、イラク、シリア両国内のその分派をめぐるトルコ政府の懸念を共有していると示すため、「具体的かつ真剣な措置」が講じられることを期待すると述べた。

 PKKは1984年以来、トルコ政府に対する武力闘争を行っている。トルコのほか、フィンランド、スウェーデン両国も加盟する欧州連合(EU)などの西側諸国・地域に「テロ組織」と指定されている。(c)AFP/Fulya OZERKAN