【5月20日 AFP】フランスで開催中のカンヌ国際映画祭(Cannes Film Festival)で18日、映画『トップガン マーヴェリック(Top Gun: Maverick)』の上映に合わせ仏空軍が曲芸飛行を行ったが、ウクライナ侵攻をテーマにしたドキュメンタリー制作チームにとっては悪夢がよみがえる演出だった。

 映画祭では、リトアニア人映画監督マンタス・クベダラビチュス(Mantas Kvedaravicius)氏の遺作『マリウポリス2(Mariupolis 2)』が特別上映される。監督は先月、ウクライナ・マリウポリ(Mariupol)で同作品の撮影中、ロシア軍に拘束され、殺害されたとされる。

 同行していた婚約者のハンナ・ビロブロバ(Hanna Bilobrova)さんが映像を国外へ持ち出し、ドウニャ・ジショフ(Dounia Sichov)氏が編集した。

 ビロブロバさんは19日、AFPに対し、アクロバット飛行チームが音を立て空を飛んでいったときの恐怖を語った。

「プロデューサーであるマリウポリ出身の友達と一緒にいた。彼女は8年間戦争を経験してきた」「私たちはバルコニーにいて、ジェット機が飛んでいく音を聞くと身を伏せようとした。爆撃はなかったが、友人は泣き出してしまった」

「(友人は)自分の反応を非常に恥ずかしがっていたので、恥じることは何もない、私たちはまだ生きているじゃないと言った」と続けた。

「マリウポリにいると、爆撃に慣れてしまう。人が死ぬのはいつものことだ」 (c)AFP