【5月20日 AFP】ドイツ連邦議会は19日、ロシアのエネルギー大手との関係断絶を拒否するゲアハルト・シュレーダー(Gerhard Schroeder)元首相(78)から、特権として与えられていた事務所を剥奪すると発表した。

 ドイツメディアによると、事務所には人件費を含め年間約40万ユーロ(約5400万円)の公費が使われていたとみられる。議会は、シュレーダー氏が「もはや事務所の継続的責務を果たしていない」と理由を説明した。

 欧州議会(European Parliament)も同日、ロシア企業の役員職にとどまり続けるシュレーダー氏ら欧州の要人に対し制裁を科すよう欧州連合(EU)に呼び掛ける拘束力のない決議案を採択した。

 シュレーダー氏は1998年〜2005年に首相を務め、退任直前にはロシアからドイツに天然ガスを送るパイプライン計画「ノルド・ストリーム(Nord Stream)」を承認した。現在、ロシア国営石油会社ロスネフチ(Rosneft)で取締役会会長、国営ガス会社のガスプロム(Gazprom)では株主委員会の委員長を務めており、来月には同社の監査委員会に加わる予定だった。

 ロシアのウクライナ侵攻については、不当だと非難する声明を出したが、ロシアとの対話を続けなければいけないとも述べていた。(c)AFP