【5月19日 AFP】(更新)ウクライナの首都キーウで行われている、ロシアによる侵攻後初の戦争犯罪をめぐる裁判で、被告のロシア兵は19日、自身が殺害したと認めた民間人の妻に対し「許しを請う」と述べた。

 ワディム・シシマリン(Vadim Shishimarin)被告(21)は、侵攻開始直後に民間人(62)を殺害したと認めている。同日には法廷で、当時の状況を詳細に語った。

 その上で、廷内で証言を行った被害者の妻に対し、「許せないのは分かっている。それでも私はあなたに許しを請う」と語り掛けた。

 戦争犯罪と計画的殺人の罪に問われているシシマリン被告は、有罪が確定すればウクライナ国内で終身刑に処される可能性がある。

 被告の証言によると、民間人を撃ったのは、自軍に合流しようと他の兵士数人と盗んだ車で移動している最中だった。被告は「自軍がいるところまで行き、ロシアに帰りたかった」と述べた。

「車で移動中に男性を見掛けた。男性は電話をかけていた。われわれのことを通報すると言った」と語った被告は、同乗していたロシア兵に「撃てと言われた」と主張した。上官ではなく名前も知らないこの兵士は「撃つべきだと強い口調で言い始めた」という。

「もし撃たなければ自分が危険を招いたことになると言われた」ため、「男性を至近距離から撃ち、男性は死亡した」と被告は述べた。

 ウクライナ側は、ロシアの侵攻開始以来、数千件の戦争犯罪があったとしている。他のロシア兵に対する裁判も近く始まる予定。(c)AFP