【5月19日 AFP】ロシア人映画監督キリル・セレブレニコフ(Kirill Serebrennikov)氏は18日、南仏で開催中の第75回カンヌ国際映画祭(Cannes Film Festival)で、ロシアのウクライナ侵攻に反対を表明し、「文化が終結に貢献できる」と訴えた。

 同氏の最新作『チャイコフスキーの妻(Tchaikovsky's Wife)』は、最高賞パルムドール(Palme d'Or)を争うコンペティション部門にノミネートされている。

 セレブレニコフ氏は同作のプレミア上映後、ロシアのウクライナ侵攻について「戦争にノーを」と反対を表明し、「文化と文化人がこの戦争の終結に貢献できると確信している」「いつか戦争が終わり、平和に暮らせるようになると自分に言い聞かせなければならない」と述べた。

 セレブレニコフ氏は2020年、首都モスクワの劇場ゴーゴリ・センター(Gogol Centre)の資金を横領したとして有罪となり、出国を禁止された。そのため、昨年のカンヌ映画祭を欠席した。6週間前にようやく出国を認められ、現在は独ベルリンで暮らしている。

 上映会に到着して同作が政治的かを問われると「特に今日においては、すべての芸術は政治のようなものだ」と答えた。

 さらにウクライナ侵攻について、「戦争は人を殺すが、芸術は常に命のはかなさ、人命を救うことの大切さを表現している」と述べた。

 また、カンヌ映画祭が17日の開会式でウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領の事前予告なしのビデオ演説を認めたことを「極めて特別な計らい」と称賛。「映画祭が現実離れしていないということで、非常に重要な意味を持つ」と続けた。(c)AFP