【5月19日 Xinhua News】「国際博物館の日」(18日)を前に、中国の重慶自然博物館で中国科学院古脊椎動物・古人類研究所のベテラン研究員、黄万波(Huang Wanbo)氏(90)がジャイアントパンダの祖先である「小種大熊猫」(学名:Ailuropoda Microta)の進化の歴史と食習慣の変化について語った。

 黄氏は「小種大熊猫の化石が最初に発見されたのは広西チワン族自治区(Guangxi Zhuang Autonomous Region)柳州市(Liuzhou)柳城県(Liucheng)の巨猿洞だが、私は1984年に重慶市(Chongqing)巫山県(Wushan)の竜骨坡で初めて小種大熊猫の頭蓋骨を発見した。この頭蓋骨は現在のジャイアントパンダのものよりはるかに小さく、歯の構造にも顕著な変化が見られた」と説明。歯の構造の変化は生活条件の変化を示しており、この時期の小種大熊猫は肉食・雑食の「始熊猫」(学名:Ailuaractos Lufengensis)から、竹を主食とする動物へと進化していったと述べた。

 黄氏によると、「小種大熊猫」はすでに絶滅した古生物で、体長約1メートル。現在のジャイアントパンダの直系の祖先にあたり、およそ200万年前に生息していた。

 黄氏はまた、「小種大熊猫はおそらくある時期に剣歯虎などの猛獣から逃れるために竹林に入ってから、外へ出て来なくなった。竹林には食べ物がないため、竹で飢えをしのぐしかなかった。その後、彼らの歯が独自に進化を遂げ、竹を食べる習性の基盤を築いたのではないか」と語った。

 黄氏はさらに、小種大熊猫の研究には重要な意義があり、その骨の化石は、ジャイアントパンダの異なる時代における食習慣の変化を明らかにする重要な裏付けとなり、パンダと人類の歴史的発展や地球上の生態系の変化との関係を研究する上で重要な参考資料になるとの見方を示した。(c)Xinhua News/AFPBB News