【5月19日 Xinhua News】中国河北省(Hebei)邢台市(Xingtai)臨西県(Linxi)の文化財保護部門は、このほど実施した民間文化財の訪問調査で、同県揺鞍鎮郷楊黄営村の農家から1265年前の唐代至徳2(757)年の墓誌銘が見つかったと明らかにした。同年は、唐中期に起きた大規模な反乱「安史の乱」の時期に当たり、銘文には反乱を起こした安禄山(あん・ろくざん)が建てた燕国の元号「聖武」が使われていた。燕国の元号が使われた墓誌銘は非常に珍しいという。

 墓誌銘は青石製で一辺が40センチの正方形をしている。厚さは15センチ。墓誌蓋(ぼしがい)には「温公墓志」の4文字が篆書(てんしょ)で刻まれ、四辺には人身獣首の十二支像の線刻が施されていた。銘文は22行、462文字で、行楷書(楷書に行書の筆法を取り入れた書体)で刻まれている。

 銘文には被葬者の経歴や功績、家族構成、先祖の名前と官職などが詳しく記載されていた。「位屈子男、才優王佐、属命逢燕、嗟捧檄於長岑(爵位は子爵、男爵に甘んじるが、才は王佐にまさる。運命により燕国の建国に遭遇し、長岑で出仕状を掲げて嘆く)」などの文言で、被葬者の傑出した才能と動乱の時代に愛国心を堅持した品性と素養をたたえている。

 郷土史家で河北省金石学会の理事を務める万文礼(Wan Wenli)氏は今回の発見について、唐代地方官職の研究や行政区画制度の沿革の考証などを裏付ける証拠になるほか、唐代の世家文化や葬儀習慣を知る上でも貴重な史料になると語った。(c)Xinhua News/AFPBB News