【5月17日 AFP】ウクライナのハンナ・マリャル(Ganna Malyar)国防次官は16日、ロシア軍に包囲されている南東部マリウポリ(Mariupol)のアゾフスターリ(Azovstal)製鉄所からウクライナ兵260人超が退避したと発表した。

 重傷者53人は治療のためノボアゾフスク(Novoazovsk)近郊の医療施設に搬送され、211人は人道回廊を経由してオレニフカ(Olenivka)に移送された。ノボアゾフスクとオレニフカはいずれもロシア軍と親ロシア派武装勢力の支配下にある。

 マリャル氏は、兵士の帰還に向けて捕虜交換を行う意向を示した。

 ウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は同日夜、ビデオ演説で「強調しておきたいのは、ウクライナの英雄は生き残らなければならないということだ。それがわれわれの原則だ」と語った。

 ウクライナ軍参謀本部は、マリウポリの守備隊は「戦闘任務を遂行した」として、現在の主要目標は「隊員の救命」だと説明した。

 参謀本部はフェイスブック(Facebook)で、アゾフスターリ製鉄所が持ちこたえたことで、南部ザポリージャ(Zaporizhzhia)市の早期陥落を防げたと指摘。「マリウポリの守備隊は現代の英雄だ。その名は永遠に歴史に残るだろう」と述べた。

 アゾフスターリ製鉄所はウクライナによる抵抗の象徴となっており、マリウポリのほぼ全域がロシア側に掌握された後も、数百人が抗戦を続けている。(c)AFP