【5月22日 AFP】男子テニス界でロジャー・フェデラー(Roger Federer、スイス)とラファエル・ナダル(Rafael Nadal、スペイン)、そしてノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)に匹敵するような選手はここ20年以上ほとんど現れていないものの、スペインの新星カルロス・アルカラス(Carlos Alcaraz)は目覚ましい活躍でスターダムにのし上がり、「ビッグ3」が確立してきた秩序を脅かす存在となっている。

 5月5日に19歳の誕生日を迎えたアルカラスは、今年のマドリード・オープン(Mutua Madrid Open 2022)で自身2度目のマスターズ1000(ATP Masters 1000)制覇を果たしたほか、同一大会のクレーコートでナダルとジョコビッチを撃破した初めての選手となった。

 アルカラスは運命づけられているかのようにみえる偉大な選手になるべく、ここまで期待にたがわぬ結果を残している。昨年9月の全米オープン(US Open Tennis Championships 2021)で、オープン化以降では最年少でのベスト8入りを成し遂げた後、今年4月のマイアミ・オープン(Miami Open 2022)ではマスターズ1000初制覇を達成。この年齢でマスターズ1000のタイトルを2度獲得しているのは他にナダルしかいない。

 元世界ランキング1位で2003年の全仏オープン(French Open)覇者である母国の名選手ファン・カルロス・フェレーロ(Juan Carlos Ferrero)氏に師事するアルカラスは、まだ先の道のりは長いと認識しており、「あらゆる面で改善する必要がある」とし、「かなり良いショットを打てるけれど、それらも改善できるし、もっと良くなるはずだ」と語った。

 2003年のウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon)で、フェデラーが四大大会(グランドスラム)初制覇を果たす2か月前に誕生したアルカラスだが、当然のことながら最も憧れているのは通算21度のグランドスラム制覇を誇る同胞のナダルだ。

 マイアミ・オープン優勝後にスペインの国王フェリペ6世(King Felipe VI)から祝福の電話を受けたアルカラスは、「ずっとラファを尊敬してきた。彼が優勝した場面や戦っている姿を見て、たくさんのことを学んだ」と振り返った。

 マドリード大会に初出場を果たした1年前の世界ランキングは120位だったアルカラス。今季は四つのタイトルを獲得して計28勝を挙げ、いずれもマドリード大会終了後時点でATPツアーのシングルス最多を記録するなど、この12か月で一気に躍進を果たして世界ランク6位に浮上しており、男子の若手有望株では今最も波に乗っている。

 そんなアルカラスについて、19歳になった2日後に2005年の全仏決勝でメジャー初制覇を果たしたナダルは、「彼が今持っている自信の大きさと到達できるレベルは、誰もが分かっている。自分もうれしい」とし、「これから何年先も自分の国に素晴らしい選手がいることは喜ばしい」と語った。
 
 現在世界1位に君臨しているジョコビッチも、イタリア国際(Internazionali BNL d'Italia 2022)でアルカラスへの称賛の声に同調し、「彼は別格だよ、本当に」とコメント。「今年ここまでで、彼が世界最高の選手であることは間違いない」とし、「今年のローラン・ギャロス(Roland Garros、全仏オープン)で、主な優勝候補の一人なのは確実だ」と話した。

 マドリード大会決勝のファイナリストとなったアレクサンダー・ズベレフ(Alexander Zverev、ドイツ)は、「今現在における世界最高の選手」とアルカラスを評価。「これから何度もグランドスラムを制し、世界1位になれるような新しいスーパースターが現れるのは、テニスにとって素晴らしいことだ」と語った。

 昨年の全仏で準優勝を果たすなど、「ビッグ3」に取って代わる新世代を先導する23歳のステファノス・チチパス(Stefanos Tsitsipas、ギリシャ)も、アルカラスの洗練されたオールラウンドなプレーに驚嘆しており、「彼に多くの刺激を受けている。彼のように心からなりたい。尊敬している」と明かし、「今の彼のレベルに本当に追い付きたいものだ。世界最高の選手の一人だと思う」と話した。(c)AFP