【5月17日 AFP】旧ソ連時代に建造されたウクライナ南部ザポリージャ(Zaporizhzhia)のザポリジュスターリ(Zaporizhstal)製鉄所。戦時に備えて設けられた地下壕(ごう)には食料・水の備蓄、発電機、トイレ、マットレスに加え、まきストーブもある。

 ロシア軍に包囲された南東部マリウポリ(Mariupo)で、ウクライナ軍最後のとりでとなっているアゾフスターリ(Azovstal)は姉妹製鉄所だ。二つの製鉄所は、ロシアの侵攻をはねつけるほどの堅強な設計の証しとなっている。

「このシェルターなら長期間滞在できる」と、フードの付いた銀色の防護服を着たイホール・ブフラエフ(Ihor Buhlayev)さん(20)は話す。背後では溶けた金属が流れ、火の粉が舞っている。「ここは生き残るチャンスを与えてくれる場所だ」

 ザポリジュスターリはロシア軍の攻撃を受けてはいない。だが、前線が危険なほど近く、操業停止を余儀なくされた。

 アゾフスターリ、ザポリジュスターリ両製鉄所の地下壕(ごう)は1930年代初め、第2次世界大戦(World War II)前に建設された。従業員数千人が避難できるように設計されている。

 二つともウクライナ一の富豪、リナト・アフメトフ(Rinat Akhmetov)氏が経営するメトインベスト・ホールディング(Metinvest Holding)が所有している。

 ザポリジュスターリの面積は約5.5平方キロとアゾフスターリの半分にすぎないが、それでも広大だ。地下壕は16か所ある。

 AFPが取材した地下壕は地下約10メートルの場所にあり、厚さ10センチほどの防爆扉に守られていた。

 明るく照らされた室内には木製ベンチが並び、収容可能人数は600人。貯水槽があり、トイレの水も流せる。貯蔵室には非常食のほか、ストーブ用のまきが胸の高さまで積み上げられていた。(c)AFP/Joshua MELVIN