【5月14日 AFP】パレスチナ自治区で取材中に銃撃を受けて死亡したカタールの衛星テレビ局アルジャジーラ(Al Jazeera)のベテラン記者シリーン・アブ・アクレ(Shireen Abu Akleh)氏の葬儀が13日、エルサレム(Jerusalem)で行われた。現地では同氏の死をめぐり緊張が高まっており、ひつぎが病院から運び出された際、イスラエル警察が葬列に突入する事態も起きた。

 テレビ映像によると、警棒を持った警官隊は葬列に向け突進し、参列者からパレスチナの旗を没収。ひつぎが地面に落ちそうになり、担いでいた人々が必死で持ち上げようとする様子も見られた。イスラエルはパレスチナの旗を公共の場で掲揚することを禁じており、抗議デモなどの場での掲揚を頻繁に取り締まっている。

 エルサレムの赤新月社(Red Crescent)によると、葬儀中に33人が負傷し、うち6人が病院に搬送された。イスラエル警察は、6人を逮捕したと発表。政府関係者は、参列者が「石やガラス瓶」を投げたとしている。

 米ホワイトハウス(White House)はこの事態を「深く憂慮する」と表明。欧州連合(EU)は、イスラエル警察による「不要な」実力行使を非難した。

 パレスチナ系米国人でキリスト教徒のアブ・アクレ氏は11日、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸(West Bank)のジェニン(Jenin)難民キャンプに対するイスラエル軍の急襲を取材中、銃撃を受け死亡した。同氏は広く尊敬を集める記者で、故郷エルサレムの旧市街で行われた葬儀には数千人が参列した。

 アブ・アクレ氏の死について、イスラエルとパレスチナは互いを非難。イスラエル軍は暫定調査結果として、銃撃した人物は特定できず、同国軍の狙撃手が武装勢力に対して行った発砲、あるいはパレスチナ側からの流れ弾が当たった可能性もあるとの見解を示した。一方アルジャジーラは、イスラエルが同氏を「故意」かつ「冷酷」に殺害したと主張している。(c)AFP/Majeda El-Batsh with Gareth Browne in Ramallah