【5月16日 People’s Daily】中国国務院は「第14次5か年計画におけるデジタル経済発展計画」の中で、デジタル経済の深化や標準化、共有化を進めるため、「東数西算」プロジェクトを推進すると表明している。

「東数西算」とは、東部地域のデジタルデータを西部地域に転送して演算処理するとともに、西部に国家計算力ハブノードを建設するプロジェクトだ。デジタルインフラの地域的偏りを改善し、新型の計算力ネットワークを最適化することにもつながる。

 国家発展改革委員会などは、内モンゴル自治区(Inner Mongolia Autonomous Region)、貴州省(Guizhou)、甘粛省(Gansu)、寧夏回族自治区(Ningxia Hui Autonomous Region)で国家計算力ハブノードの建設を開始すると表明。プロジェクトをスタートさせている。

 国家発展改革委員会の金賢東(Jin Xiandong)スポークスマンは「産業のデジタル変換とアップグレードをスピードアップするため、膨大なデータ管理、計算、転送、応用が必要となっている」と説明する。

 パソコンメーカー聯想(レノボ、Lenovo)のサービス業務総経理の劉森(Liu Sen)氏は「東数西算プロジェクトは西部の豊富な再生可能エネルギーと未利用地を活用し、東部に比べ遅れているデジタル経済を振興することにつながる。また、東部のエネルギー大量消費、高い電力コスト、用地の制限といった問題を解決する」と強調する。

 現在、多くのIT企業が東数西算プロジェクトに応じており、コスト削減や省エネ、二酸化炭素(CO2)排出削減などの効果が表れてきている。

 内モンゴル自治区ウランチャブ市では2020年8月、アリババグループ(Alibaba)のクラウド部門・阿里雲(Alibaba Cloud)のデータセンターがクラウドコンピューターサービスを始めた。データセンターは風力発電や太陽光発電などのクリーンエネルギーを利用している。ウランチャブ市の年間平均気温は4.3度と低く、データセンターは年間10か月近く、自然環境を利用して冷却できる。

 スマートフォン大手のファーウェイ(Huawei)はウランチャブ市と貴州省貴安市(Gui’an)にデータセンターを備える。同社のクラウド戦略・計画事業の担当者は、「自然環境を利用した換気や冷却技術により各サーバーの負荷をバランスよく稼働し、効率的な資源利用ができている」と話す。年間で10億キロワットを節電し、CO2排出量を81万トン削減するという。

 中国のデジタル経済は急速に発展しているが、演算設備では世界トップレベルと差があり、急増するデータの処理に対応しきれていない。その理由について、中国情報通信研究院産業計画研究所の王青(Wang Qing)副主任技師は「データセンターの需要と供給にアンバランスがある」と指摘。「東数西算プロジェクトにより、デジタル経済企業が西部のデータセンターからサービスを受ければ運用コストの削減と利益向上につながる。同時に、西部の経済構造の転換とアップグレードをもたらす」と期待している。(c)People’s Daily/AFPBB News