【5月15日 People’s Daily】中国の各都市でビッグデータやクラウドコンピューティング、人工知能(AI)、5Gなどを活用したスマートシティーの建設が進む中、新技術は地下鉄にも生かされている。「スマートメトロ」は利用者の便利な移動手段であるだけでなく、多様なニーズに対応している。

 スマート接客センターに乗客の流れを可視化するヒートマップ、ワンタッチ改札、スマート照明…。中国北部・天津市(Tianjin)の地下鉄6号線淥水道駅には20のインテリジェント機能があり、駅中央制御室にあるスマート駅総合運営プラットフォームは「最強の頭脳」と呼ばれている。二酸化炭素の量や温度・湿度、PM2.5などの数値を一日中監視し、スマート照明と風水連動システムで効果的な節電を図っている。天津初の完全自動運行の地下鉄路線であり、列車の発車、折り返し、車庫入れ、障害物検知、衝突防止警告などの機能を備えている。

 中国西部・西安市(Xi'an)の地下鉄6号線郭杜西駅には、AIを備えたバーチャル駅員「青青(Qing Qing)」がいる。乗客がタッチパネルを操作したり音声で質問したりすると、画面内の青青が適切な回答をする。南部・広州市(Guangzhou)では、車両が最大時速160キロで走行する地下鉄18号線で、顔認証システムの改札が登場。乗客は地下鉄アプリに個人情報を登録しておくと、顔認証で改札を通過できる。混雑のピーク時は、乗客のスマホや電子案内画面などと連動し、各車両の混雑状況をリアルタイムで管理し、乗客が少ない車両に誘導する。

 新型コロナウイルスの発生以来、地下鉄は感染拡大を抑える重要な場所の一つになっている。中国南部・深セン市(Shenzhen)の地下鉄では、体温に異常がある乗客がいればすぐに指令センターに連絡が行くシステムを確立している。東部の福建省(Fujian)福州市(Fuzhou)の地下鉄では、乗客1人1人の体温を確認する検温カメラを導入し、入場の効率化を図っている。

 中国人民大学(Renmin University of China)の王鵬(Wang Peng)副教授は「日常の交通手段である地下鉄のスマート化は、乗客にさらなる利便性をもたらす」と指摘。 地下鉄と最新技術の融合は人々の日常の暮らしやビジネス、レジャーなど多くの面でメリットをもたらし、環境に優しい社会づくりに重要な役割を果たす。(c)People’s Daily/AFPBB News