【5月13日 People’s Daily】朝早く、まだ涼しいうちから建築作業員は鉄塔の建設にせわしなく働いている。

「この前は雨雪がやまなかったのですが、5G基地局の基礎は養生期間で、工期は全く遅れませんでした」と、中国鉄塔会社(China Tower)知元責任者の余発林(Yu Falin)氏は語る。現在の進度を参照すると、半月後には5Gの電波が入るという。

 ここは安徽省(Anhui)黄山市(Huangshan)徽州区(Huizhou)の西渓南(Xixinan)景勝区だ。かつてはインターネットの回線が不安定で、商店や観光客は不便を強いられていた。「携帯で支払いをしても、QRコードが開けないこともありました」と、西渓南景勝区でカフェを営む許若侠(Xu Ruoxia)さんは語る。

 景勝区の求めに応じて、中国鉄塔・インターネットプロバイダー・地元行政が協力し、昨年から5G基地局の建設に着手した。景勝区の重点区域を5Gでカバーしつつ環境への影響を減らすため、最終的に駐車場のそばの林に基地局を建設することが決まった。

「2021年に西溪南景勝区を訪れた観光客はのべ50万人を超えました。5Gの基地局が完成してから、私たちはスマート観光計画を立て、デジタルガイドシステムを構築しました」と、西渓南鎮共産党委員の汪爲之(Wang Weizhi)氏は言う。QRコードをスキャンすれば地図や観光順路、スポットなどが表示されるという。5Gは観光体験を向上させるだけでなく、景勝区内の各情報を早く正確に伝えることができるため、さまざまなシーンで応用できるようになった。

 現在までに、安徽省では5G基地局が5万か所を超え、すでに全省16の市と黄山、九華山などの観光地が5Gカバーエリアとなっている。2022年に、安徽省は年間で2万5000か所以上の5G基地局を新設する計画だ。

 インターネットやビッグデータ、人工知能などの新技術が観光分野に応用されるにつれ、デジタル化・インターネット化・スマート化の特長を活かしたスマート観光が、観光業が質の高い発展を進める上での新しい動きとなっている。14次5か年計画でも、スマート観光の発展やスマート景観区の強化が長期目標としてあげられている。

 中国全体で見ても、5G・ビッグデータ・クラウドコンピューティング・人工知能・VRなどの新しい情報技術の観光分野における応用は加速しており、スマート景勝区などの取り組みは発展の最中にある。オンラインでのチケット予約などはますます普及しており、同時に、各地でスマート観光サービスプラットフォームのモデルや、多元化した体験やサービスの提供が積極的に模索されている。他にも、博物館における活用や、クラウド上での観光・演劇・ライブストリーミング・展覧会などの新しい業態が育ちつつある。(c)People’s Daily/AFPBB News