【5月29日 AFP】息をのむほど美しい眺めで有名なブラジル・リオデジャネイロ(Rio de Janeiro)のコパカバーナビーチ(Copacabana Beach)。浜辺を望む丘には、ファベーラ(スラム街)が広がる。その中に、熱帯の日差しを受けてきらめく屋根が一つある。国内初の「ファベーラ太陽光発電プロジェクト」に参加している建物の一つだ。

 太陽光パネルが設置されているのは、バビロニア(Babilonia)地区のファベーラにある地域組合の建物だ。たっぷりと降り注ぐ日光を利用して再生可能なエネルギー源を増やし、貧しい人々が暮らすこの地区の電気料金を下げようとする試みだ。

 現在は太陽光パネル60枚から直接、電力網に電気が供給されている。それと引き換えに電力会社は、組合に参加する34世帯に電気料金の割引を実施している。

 さらに地元のホテルを含む民間企業の屋上にも、44枚の太陽光パネルが設置されている。これらの企業も組合の一員として割引を受けている。

 組合の代表を務めるステファノ・モッタ(Stefano Motta)氏は「ファベーラでは、電気料金を払うか、食品を買うか、どちらかしか選べないといったことがあまりにも多い」と話す。

 このプロジェクトは昨年6月、ファベーラの住民が電気代の支払いに苦慮する危機的状況の中、各コミュニティーのリーダーと非営利組織によって立ち上げられた。

 ブラジル電力エネルギー庁(ANEEL)によると、国内の一般家庭の平均的な電気代は、昨年の7%増に続き、今年も21%増となる見通しだ。

 昨年、主要な水力発電施設のある二つの地域は、過去約1世紀で最悪の干ばつに見舞われた。当局はこれを補うため、よりコストのかかる火力発電所を緊急に稼働させる措置を取った。