【5月12日 AFP】アフリカ南部ジンバブエでゾウの保護活動が成功を収める一方、人との衝突が増加し、今年これまでに60人が死亡した。政府報道官が10日、明らかにした。2021年には72人がゾウに襲われて死亡したとされる。

 ジンバブエに生息するゾウは約10万頭。ボツワナに次ぎ世界で2番目に多く、アフリカ全体の4分の1を占める。

 多くの地域で象牙を狙った密猟によって数が減少しているが、ジンバブエでは保護活動が成功し、年5%増加している。

 ニック・マングワナ(Nick Mangwana)政府報道官は「一部の地域では、多数のゾウの群れが一緒に移動し、農作物を食べ尽くし、今や住宅地にも入り込んでいる。住民は反撃を余儀なくされ、ゾウを傷つけてしまうこともある」とツイッター(Twitter)に投稿した。

 その結果、「けがをしたゾウは攻撃的で手に負えなくなる」。

 同国の人口は約1500万人で、人口増加率は約1.5%。人口増や貧困のために、地方住民がゾウと衝突せざるを得ないような地域への移住を余儀なくされている。

 公園・野生生物管理局のティナシェ・ファラウォ(Tinashe Farawo)氏は、ゾウの数を減らさなければ「大惨事」になると警鐘を鳴らした。

 ファラウォ氏は「ゾウの群れが水と餌を求めて移動する乾期が近づくにつれ、脅威が増す可能性が高い」として、レンジャーが特に凶暴なゾウの殺処分を行っていると説明した。

 保護活動家によると、ゾウが十分に食べていくには広大な土地が必要で、ジンバブエが養えるゾウの上限は約4万5000頭だという。

 ゾウの売買は国際的に禁じられているが、政府は個体数を管理するために不妊・去勢手術や狩猟の許可を検討している。(c)AFP