【5月12日 AFP】ウクライナで作付けの季節を迎えた。農家は今年、燃料と肥料以外のものを切望している。地雷や爆弾処理の専門家と防弾チョッキだ。

 南西部フリホリウカ(Grygorivka)のイーホル・チアパ(Igor Tsiapa)さんのトウモロコシ畑には耕されていない一角がある。不発弾が横たわるその一角以外はすでに耕作が終わり、作付けを待つばかりになっている。

 50代後半のチアパさんは5日、AFPに対し、「1週間半前にロケットを見つけたが、その辺りを避けて作付けの準備を進めた」と話した。数メートル先では、救急当局の爆発物処理班が不発弾の爆破準備を進めていた。

「多少なりともまともな作物を収穫したければ、すべてを予定通りにやらなければならない。中断はできない」

 ロシアの攻撃の影響で、ウクライナ各地に多数の地雷や不発弾が残っている。

 警察によると、4日にはキーウ州のホホリウ(Gogoliv)で農民がトラクターで地雷に乗ってしまい、負傷した。

 農業関連のマーケティング会社「プロアグロ・グループ(ProAgro Group)」のアナリスト、マリヤ・コレスニク(Maria Kolesnyk)氏は、ウクライナ侵攻関連の爆発事故は約20件報告されているが、死者数は分からないと指摘する。

「農業関係者は今、地雷除去の専門家を最も必要としている」「ウクライナの専門家は休みなく働いており、私たちは国際的支援を切実に求めている」と訴えた。

 チアパさんの畑では、青いヘルメットをかぶった処理班が、握り拳ほどの大きさの爆薬をロケットの横に置き、その上に土を掛けた。

 処理班の一人、ディミトロ・ポリシュチュク(Dmytro Polishchuk)さんは、多い日で3個の爆発物を処理すると話した。

 ポリシュチュクさんによると、忙しくて処理班を待てず、棒の先にプラスチックボトルや袋を付けた警告旗を爆発物の近くに立て、作業を続ける農家もいる。しかし、放置しておけば爆発しないという保証はないと指摘。自爆するよう設定されているものもあり、いつ爆発するか分からないと警告した。

 チアパさんは、ロシア軍の攻撃の影響がない地域の農家は、作付けができなくなった地域の分を補う必要があると考えている。危険は承知だ。

「この地域にいる私たちは、収穫量を増やすという責任もプレッシャーも2倍になっている。ここでは戦闘は起きていないので、作業ができる」

 ウクライナはヒマワリ油の世界最大の産地で、小麦の主要輸出国だった。侵攻以前は、トウモロコシの輸出量は世界4位、小麦の輸出量はロシア、米国に次ぎ世界3位になるとみられていた。ロシアとウクライナの小麦の輸出量は、世界全体の約3割を占めている。

 チアパさんの畑に黒煙が上り、爆発音が響いた。

 爆破処理が終わるとすぐに赤いバンに乗り込み、走り去った。作業を続けなければならない。

 映像は5日撮影。(c)AFP/Joshua MELVIN