【5月11日 AFP】米国のアブリル・ヘインズ(Avril Haines)国家情報長官は10日、ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領はウクライナ東部ドンバス(Donbas)地方を制圧した後も軍事作戦を終わらせず、隣国モルドバ東部の親ロシア派支配地域への陸路を確保する意向だとの見方を示した。

 ヘインズ氏はこの日、上院軍事委員会の公聴会に出席し、米情報機関の分析結果を説明。プーチン氏が戒厳令などを通じ国家を総動員する可能性が高まっており、戦争を長期化させることで西側諸国によるウクライナへの支援が次第に減少することを期待していると述べた。

 東部ドンバス地方に戦力を集中させるというプーチン氏の決定については、首都キーウ制圧に失敗したことを受けた「一時的な動きにすぎない」と指摘。ロシア軍は現在も、黒海(Black Sea)沿岸地域を掌握し、2014年に併合したクリミア(Crimea)半島に向けた水資源を確保するとともに、ウクライナ南西部に接するモルドバの親ロ派支配地域トランスニストリア(Transnistria)への陸路を確立することを目指していると述べた。

 一方で、ロシア軍がこれらの地域を制圧・維持するには、より大規模な兵力の動員が必要だと指摘。このため今後数か月の展開は予測がより難しく、戦争の規模拡大の方向に事態が進む可能性があるとした。(c)AFP