【5月9日 AFP】ドイツの警察は8日、首都ベルリンにある旧ソ連軍の戦没者追悼記念碑前で、ウクライナを支持するデモ隊が広げた巨大な同国国旗を押収した。これに対しウクライナ政府は「過ち」だと非難した。

 市中心部のティーアガルテン公園(Tiergarten Park)に設置されているソビエト戦争記念碑(Soviet War Memorial)前で同日、在独ウクライナ大使館が欧州での第2次世界大戦(World War II)終結の記念式典を開催。アンドリー・メルニク(Andrij Melnyk)駐独大使が青と黄色の花輪をささげた。

 厳重警備が敷かれた会場周辺には、親ロシア派と反ロシア派のデモ隊が集結。「メルニクは出て行け」というスローガンや、「ウクライナに栄光あれ」と叫ぶ声が飛び交った。

 警察によると、式典参加者が国旗を掲げるのを認められたことに対し、一部が反発。警察はそれを受け、「式典を厳粛に執り行うため、長さ25メートルのウクライナ国旗を片付けた」と説明している。

 ウクライナのドミトロ・クレバ(Dmytro Kuleba)外相はそうした対応について、ツイッター(Twitter)に「ベルリン当局はウクライナの象徴を禁止するという過ちを犯した」「ロシアの象徴と同等に扱うのは深刻な誤りだ」と投稿。

「平和的なデモ参加者からウクライナ国旗を取り上げるのは、今この国旗を手に、ロシアの侵略から欧州とドイツを守っているすべての人に対する攻撃だ」と訴えた。

 8日の第2次大戦終結記念日に続き、9日はロシアの対独戦勝記念日に当たる。ドイツでは、両日に親ロシア派がデモを行う可能性が高いとして緊張が高まっていた。

 ベルリンの警察は、市内15か所の戦争記念碑周辺で国旗や軍事的象徴を掲げる行為をすでに禁止していた。先週末は、記念式典の安全を確保するためとして、取り締まりを強化していた。(c)AFP