【5月10日 AFP】インド西部グジャラート(Gujarat)州で、焼けるような暑さの中、歩道に横たわってほとんど動かないタカ科の鳥のひなをボランティアが持ち上げる。ひなの羽に太陽が照り続ける。インドでは、熱波により多数の鳥が脱水症状などを起こしている。

 いつもより夏が早く始まり気温が記録的に上昇し、人間だけではなく動物にも影響が出ている。専門家は、気候変動により気温上昇が深刻化し、頻度も高まると警告している。

 同州アーメダバード(Ahmedabad)にある動物病院「ジブダヤ・チャリタブルトラスト(Jivdaya Charitable Trust)」は、鳥の病院としてはインド最大規模を誇る。先月は約2000羽を治療した。極度の脱水症状を起こして衰弱する鳥も多く、木から落ちて羽にけがをした鳥もいた。

 病院の共同創設者のギラ・シャー(Gira Shah)氏は「毎日少なくとも50~60羽の鳥が脱水状態で運ばれて来る」とAFPに語った。気温は46度まで上昇しているという。

 地獄のような暑さとなるこの時期に繁殖期の終わりを迎える鳥もいるため、ひなや幼鳥が多数運ばれてくる。

 運ばれてくる鳥のうち、約4分の1は深刻な脱水症状や、それに伴う合併症により死ぬ。治療を受けて回復した鳥は、野生に戻れるようになるまで鳥籠で飼育される。症状が重く障害を負った鳥は、動物園などに送られる。

 獣医師のニディ・シャルマ(Nidhi Sharma)氏(29)は、インコ1羽とチメドリのひな1羽の治療を終えると、歩道で保護されたタカ科の鳥のひなを診察した。水分補給効果のある液体を注射しながら「脱水症状が深刻だ」と話した。

 ひなを保護した人たちは、高さ15メートル近い木の巣から地面に落ちたとみている。

 管理担当のシャーウィン・エベレット(Sherwin Everett)氏は、2010年からジブダヤ・チャリタブルトラストで働いている。今年の熱波は、これまでに経験したことないほどの悪影響を鳥に与えていると指摘する。

 インドでは2010年以降、熱波で6500人以上が亡くなっている。

 シャー氏とエベレット氏は、野生動物の生活環境にも関心を向けるよう呼び掛けている。

 エベレット氏は「7月までに複数の熱波が到来し、気温がさらに上昇すると予測している」と述べた。「これから数か月は、非常に恐ろしい状況が待ち受けている」 (c)AFP/Glenda KWEK