【5月7日 AFP】ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は6日、南東部の港湾都市マリウポリ(Mariupol)は完全に破壊され、包囲されているアゾフスターリ(Azovstal)製鉄所くらいしか残っていないと述べた。

 ゼレンスキー氏は英ロンドンのシンクタンク、王立国際問題研究所(チャタムハウス、Chatham House)とのビデオ通話で、要衝マリウポリの陥落がウクライナ紛争の行方にどう影響するかとの質問に対し、「マリウポリは陥落しようがない。何も残っていない。すでに壊滅状態で建物もない。完全に破壊されている」と答えた。

 さらに、残っているのは「わずかばかりの芝生と構造物、アゾフスターリ製鉄所かその残骸だ」と付け加えた。

 マリウポリのウクライナ側「最後のとりで」となっているアゾフスターリ製鉄所にはトンネルや地下壕(ごう)があり、ウクライナ部隊の他、民間人約200人がいるとみられている。

 ゼレンスキー氏は、ロシア軍はマリウポリの市民を「拷問して殺害した」とし、ロシア大統領府(クレムリン、Kremlin)のプロパガンダ部隊がそう仕向けるよう憎悪をあおっていると非難した。

 さらに、ナチス・ドイツ(Nazi)の国民啓蒙・宣伝相だったヨーゼフ・ゲッベルス(Joseph Goebbels)に言及し、「ゲッベルスの手法も、クレムリンと比べれば子どもだましのようなものだ。これこそが、この紛争の最も恐ろしい教訓だ」と語った。(c)AFP