【5月8日 AFP】インドの首都ニューデリーの市街でおなじみの黄色と緑色のオートリキシャ(自動三輪タクシー)。その中でも、マヘンドラ・クマール(Mahendra Kumar)さん(48)の車両はひときわ目を引く。真夏のうだるような暑い日でも乗客が涼しく利用できるよう、屋根をルーフガーデン仕様にしたのだ。

 クマールさんによると、道路舗装に使われているタールも溶け出すような気温45度の暑い日でも、屋根に載せた植物のおかげで車内は涼しく保たれる。

 これまで、低木や花など、約20種類の植物を栽培したというクマールさんのユニークな「移動庭園」に、通勤者や通行人は足を止めて写真を撮る。

「アイデアは2年ほど前の夏の盛りにひらめきました。屋根の上で植物を育てれば車内を涼しく保てて、乗客を暑さから守れるに違いないと思った」とクマールさんは話す。

「自然のエアコンみたいになりました。お客さんは満足して少し余分に払ってくれます」

 インドでは2010年以降、熱波により6500人以上が命を落としている。科学者は、気候変動の影響で、南アジア全域で熱波の強度と頻度が増していると指摘する。

 オートリキシャのルーフガーデンで育つレタスやトマト、ヒエ。クマールさんは、環境のためにできる「ささやかな」役目を果たしているだけだと語る。

「大変なことは何もありません。1日に2回、ボトルで水やりするだけですから」 (c)AFP/Abhaya SRIVASTAVA