バイデン氏、中絶の権利訴え 最高裁意見流出で米国に激震
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【5月4日 AFP】米連邦最高裁判所が、女性の人工妊娠中絶の権利を長年にわたり守ってきた判例を覆そうとしていることを示した意見草案の流出を受け、ジョー・バイデン(Joe Biden)大統領は3日、同国の有権者に対し、中絶の「基本的」権利を守るよう訴えた。
2日に意見草案が報じられたことを受け、米政界には激震が走った。最高裁の判断は歴史的な転換点となる可能性があり、中絶問題が11月の中間選挙の焦点となることは必至だ。
ジョン・ロバーツ(John Roberts)最高裁長官は3日、流出した草案は本物だと認めつつも、最終的な決定ではないと説明。裁判所の執行官に対し、流出元について調査を指示したことを明らかにした。
草案は数か月以内に正式な判決となる可能性がある。その場合、半世紀にわたり維持されてきた中絶の権利に関する憲法上の保護がなくなり、野党・共和党の支配下ですでに中絶規制を推し進めている州は完全な自由を得られることになる。
草案流出を受け、ワシントンの最高裁前には中絶の権利賛成派と反対派の双方が集結。3日朝にも小規模のグループが集まり、シュプレヒコールを上げた。
バイデン氏は声明で、最高裁が草案通りの最終判断を下せば、この問題は「有権者の手に委ねられる」ことになると指摘。中間選挙で中絶の権利支持派の議員を選出するよう呼び掛けた。
また議会に対しては、中絶を合法化する法律の制定を要請。大統領としてこうした法案を「通過させ、署名するよう努める」としたが、現在の上院は民主党と共和党がそれぞれ半数の議席を持ち拮抗(きっこう)していることから、法案通過の条件は整っていないとも認めた。(c)AFP