【5月5日 Xinhua News】世界最高峰チョモランマの標高8800メートル地点に間もなく、重さ50キロの自動気象観測所が設置される。世界で最も標高が高い自動気象観測所となり、得られた実測データは同山の超高標高気象記録の空白を埋める。

 中国西蔵(シーザン)自治区で実施されているチョモランマ超高標高地区の総合科学調査「ピークミッション2022」は、気象観測所の設置を積極的に推進している。観測所の設置は、中国のチョモランマにおける段階的気象観測システムの基本的な完成を意味し、高標高地区にある氷河や積雪の変化を監視する上で重要な意義を持つ。

 中国科学院青蔵高原研究所の趙華標(ちょう・かひょう)研究員によると、研究チームは今年以降、標高5200メートル、7028メートル、7790メートル、8300メートル各地点に四つの自動気象観測所を設置した。

 昨年設置された6500メートル、5800メートル、5400メートル各地点の3カ所と合わせると、5200~8300メートルの間に七つの自動気象観測所が稼働していることになり、8800メートルの気象観測所が完成すれば、パズルの最後の1ピースが埋まることになる。

 青蔵高原では、地球温暖化に伴い標高が高くなるほど気温の上昇幅が大きくなるという特徴を示している。ただ、こうした現象は標高5千メートル以下の気象観測所の観測に基づくものであり、より高い標高における気象実測データは存在しなかった。

 この空白を埋めるため、第2次青蔵高原総合科学調査研究チームはチョモランマ北側に自動気象観測所8カ所を設置することを決定。各標高に段階的に設置された観測所が気象データを収集することで、超高標高地区における気象要素の変化特性を研究する。

 趙氏によると、同チームは8800メートル地点に観測所を設置する以外にも、氷河測厚レーダーで山頂エリアの氷雪の厚さ測定する。手動ドリルで氷床コアのサンプルも取得し、超高標高地区における気候環境の変化特性を分析する。

 今後の見通しでは、各標高に設置された8カ所の自動気象観測所がチョモランマ北側の気温、相対湿度、風速、風向き、太陽放射などのデータを記録する。

 趙氏は「チョモランマは季節風と西風の交互作用を受ける。一般的に6~9月に季節風、それ以外は西風の影響が強い。収集したデータは季節風と西風が切り替わる時期も反映されるので、今後は季節風の到来予測のためのデータを提供できる」と語った。(c)Xinhua News/AFPBB News