【4月30日 AFP】元男子テニスのボリス・ベッカー(Boris Becker)氏(54)は29日、英ロンドンのサザーク刑事法院(Southwark Crown Court)で、2017年の破産宣告に関連した罪により禁錮2年6月の実刑判決を受けた。

 現役時代に通算6度の四大大会(グランドスラム)制覇を成し遂げたベッカー氏は、自身の業務用口座から巨額の資金を持ち出したことに加え、母国ドイツにある資産の開示不履行、そして82万5000ユーロ(約1億1300万円)の債務およびテクノロジー企業の株式隠匿で有罪が確定し、これから刑期の半分を刑務所で過ごすことになった。

 一方、輝かしいテニスのキャリアで獲得したトロフィーやメダルを引き渡さなかったとする9件を含め、その他20件については今月上旬に無罪となっていた。

 ノーシードの10代にしてウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon)優勝を成し遂げたベッカー氏は、今回の陪審裁判で、同大会の男子シングルスで獲得したトロフィー3個のうち2個を含めた記念品の所在は知らなかったと主張していた。

 この日の判決に先立ち、ベッカー氏を保釈していたデボラ・テイラー(Deborah Taylor)判事は、「あなたはこれまで後悔の念や罪を認める姿勢を示さず、自身の犯罪と破産から距離を置こうとしていた」と述べると、「この裁判手続きの中で、あなたは人を侮辱していた一方で、謙虚さは一切見せなかった」と指摘した。

 ベッカー氏は判決を言い渡された際に何の感情も示さず、かばんを手にすると収監された。控訴の意向はすぐに明らかにされておらず、刑務所内から不服申し立てを行うことになる。(c)AFP/John WEAVER