【4月30日 AFP】かつて自動車産業の中心地だった英イングランド中部コベントリー(Coventry)でこのほど「世界初」をうたう電動垂直離着陸機(eVTOL)用ターミナル、いわゆる「バーティポート」が始動した。

「エアワン(Air-One)」と命名されたこの都市型ポートは、1か月間限定での設置となる。いわゆるポップアップストア的な施設だ。このベンチャー事業に携わった英国企業アーバンエアポート(Urban-Air Port)は、自律型配送用ドローンや空飛ぶタクシー向けの地上インフラの開発を進めている。

 25日の初飛行を務めたのは、普段は英国軍の兵たん面での支援に使用されているマロイ・エアロノーティックス(Malloy Aeronautics)社製の商用ドローン「T150」。スパークリングワイン6本が入った12キロ相当の箱を搭載して離陸した。

 アーバンエアポートの創業者であるリッキー・サンドゥ(Ricky Sandhu)会長は、英政府関係者ら数百人を前に「私たちが今立っているのは、世界初の完全稼働のバーティポートです」と語った。同社は、環境に優しい輸送手段を推進する政府の助成金を受けている。

 鉄道駅近くに設置されたエアワンでは、人口が密集した都市環境におけるドローンターミナルの機能が披露されると同時に、eVTOL用ミニポートとしての実用性も試される。

 アーバンエアポートは、英国内外でも数か月以内にこうしたデモンストレーションを行う予定で、最終的には世界200か所以上で同様のターミナルの設置を目指している。

 提携企業の一つ、スーパーナル(Supernal)は韓国・現代自動車(Hyundai Motors)の米国子会社で、自律飛行する電動エアタクシーの開発を進めている。同社のマイケル・ウィテカー(Michael Whitaker)最高商業責任者(CCO)はAFPに対し、「バーティポート、つまり着陸する場所がなければ、ビジネスとして成り立ちません」と語った。

■緊急対応にも利用

 アーバンエアーポートが強調するもう一つの利点は、バーティポートが自治体の緊急事態にも対応できる点だ。

 コベントリー周辺地域を管轄するウエストミッドランド警察(West Midlands Police)も、エアワンの運用初日にドローンを数機飛ばした。同警察のドローン担当責任者は「この種の施設は(中略)警察だけではなく、消防、救急、自治体当局にとっても役立つはずです」と語った。(c)AFP/Joe JACKSON