【4月30日 AFP】イタリア・ベネチアで開幕した「第59回ベネチアビエンナーレ(Venice Art Biennale)国際美術展」。アーティストのパウロ・マコウ(Pavlo Makov)氏(63)は、ウクライナを代表して作品を出展している。ロシアによる侵攻から身一つで避難して来たマコウ氏の参加は、戦時における芸術の役割を問い掛けている。

「自分では、ウクライナ出身のアーティストというより、ウクライナ国民であると強く感じています」とマコウ氏は語る。

 マコウ氏のインスタレーション作品は、ピラミッドに置かれた薄青のじょうご78個から成る。じょうごを通る水がゆっくりと下の盆に流れ落ち、その音が静寂な空間にこだまする。

「ザ・ファウンテン・オブ・イグゾスチョン(The Fountain of Exhaustion、枯渇の泉の意)」と名付けられた作品についてマコウ氏は、「現代の生活を表現した」と説明する。「アートが世界を変えられるとは思いません。でも私たちはアートの助けで生き延びることができるのです」

 国別のパビリオンでは58か国、213人のアーティストの作品が展示されている。

 マコウ氏は「私たちが今、ロシア文化と対話する場所は一か所だけ、前線です」と語る。