【4月27日 AFP】シンガポール政府は27日、知的障害のあるマレーシア人男性の死刑を執行した。家族が明らかにした。男性への死刑判決に対しては、国連(UN)や欧州連合(EU)などが批判する中、恩赦をめぐり長年にわたって法廷で争われてきた。

 ナゲントラン・K・ダマリンガム(Nagaenthran K. Dharmalingam)死刑囚(34)は2009年、コカイン43グラムを密輸しようとして逮捕され、翌年、死刑判決が下された。

 ナゲントラン死刑囚の支持者らは、同死刑囚のIQ(知能指数)が知的障害と認定される69で、密輸を強制されたと主張していた。

 それに対し、当局は、同死刑囚は犯行時に自分が何をしていたか理解していたと反論していた。

 同死刑囚の親族はAFPに対し、27日朝に刑が執行されたと述べた。「刑を執行しないよう国際的な声が上がっていたにもかかわらずシンガポール政府が執行に踏み切ったことが信じられない」と語った。

 死刑廃止を訴えるNGO「リプリーブ(Reprieve)」は、ナゲントラン死刑囚は「悲劇的な誤審の犠牲者だ」「知的・精神障がい者の死刑は正当化できない」と非難した。

 シンガポールは2年以上にわたって死刑を停止していたが、先月、再開した。(c)AFP