【4月22日 AFP】24日に決選投票を控えたフランス大統領選は21日、現職エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)氏と極右のマリーヌ・ルペン(Marine Le Pen)候補がそれぞれ、労働者層の居住地域で選挙戦最終盤の追い込みに入った。前日のテレビ討論会ではマクロン氏に軍配が上がっている。

 決選投票前の重要な勝負どころとなった20日夜のテレビ討論会では、マクロン氏が約3時間にわたり攻めの手を緩めなかった一方、ルペン氏は慎重な姿勢を維持。ルペン氏は2017年の前回選挙での討論会で見せた慌てぶりがやゆされており、今回の討論会ではマクロン氏の攻勢に動じないよう細心の注意を払った。

 一部のアナリストは、マクロン政権の5年間の実績に対する批判が控え目だったことに驚きを表明している。仏BFMテレビの委託で調査会社エラブ(Elabe)が行った世論調査では、より説得力があった候補として、59%がマクロン氏、39%がルペン氏を選んだ。

 世論調査では、マクロン氏がルペン氏を約10ポイント引き離し、明確なリードを保っている。だが浮動票も多いため、マクロン陣営は気を抜けない状況だ。

 討論会でマクロン氏は、ロシアのウクライナ侵攻にからめてルペン氏を攻撃。ルペン氏の極右政党「国民連合(RN)」が2017年の大統領選前にファースト・チェコ・ロシアン銀行(FCRB)から受けた融資に言及し、ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領に「依存している」と非難した。

 最も論戦が白熱したのは、イスラム教徒が髪を隠すために使うスカーフ「ヒジャブ」をめぐる問題だった。ルペン氏はヒジャブを「イスラム教徒が課した制服」と表現し、公共の場での着用を禁止する公約を堅持すると言明。マクロン氏は「そんなことをしたら内戦を引き起こす」と反発した。

 ルペン氏はマクロン氏を、経済悪化をもたらした「金融のモーツァルト」とやゆ。これに対してマクロン氏は、政策の財源をめぐるルペン氏の計画を批判し、フランスの有名なマジシャンに言及して「今夜(の番組)はジェラール・マジャックス(Gerard Majax)ではない」と応じた。

 欧州連合(EU)に関しては、ルペン氏は残留をしつつもEUを改革し、加盟国の主権が完全に尊重される連合体にしたいと説明。マクロン氏は、ルペン氏が「欧州からの離脱」を目指していると主張した。

 マクロン氏は21日、パリ近郊の低所得地域セーヌサンドニ(Seine-Saint-Denis)を訪問。ルペン氏は北部の工業地域オードフランス(Hauts-de-France)を訪れ、アラス(Arras)で最後の選挙集会を開く。(c)AFP/Stuart WILLIAMS